海 続・千夜一夜その238

初夏の陽射しが差し込む杉木立の峠道は歴史街道としても名高い。道しるべや手作りの木のベンチが充実して、坂道の先にはいびつに積まれた石段が続き、覆い被さる古木が野性的になるような箇所では青々とした苔が脇道に群生して、人々は石畳の坂道に癒される。ひとりで坂道を登りながら汗をぬぐい、息を整えるように大きく吸い込んで、森の隙間をじっと見つめるとノコギリのように尖った海岸線の向こうに真っ青な海が見えた。

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