秋の田の刈り穂の匂いや処暑の風 裏窓から・処暑篇

もうそろそろ夏のお野菜とかが終わって
お鍋の季節になるなあ
と二人で話していたのですが

まだまだ暑さは続きますが
気温が高い割には
風は爽やかです

散歩をすると
秋の田の刈り穂の匂いがします


二十四節気にあわせて
【裏窓から】シリーズをもう何年も書いてきて
これも下書き感覚で書き始めましたが

できごとの少ないころであるとか
思いの湧き上がる激しさの緩やかなころとか
感情に凸凹のない自分がいるときなどをみてきて
いかにも私は周囲の人とともに歩んでいるのだなと痛感する。

お盆が過ぎてヒグラシやミンミンゼミの声が
ひときわ遠くから届いてくるような気がするのは
セミが増えたとか風が吹いているからという理由ではなく
私が秋を待っているからなのだと思い直している。

夏バテをするわけでもなく
痩せることもなく
胃腸もしっかり暮らしておれることに感謝する。

この夏になってから二人も
癌に罹っていたので…と知らせが届いてきて
返事のしようのない無力を感じている。

母はオウム事件のころに大腸癌を切除した。
その切除片は途轍もなく大きなもので
全部の腸を切ってもこれほど大きくないのではないかというほどの塊が
褐色の血まみれでトレーの上に置いてあったのを憶えている。
6人部屋の5人が数ヶ月の間に次々と死んでしまったあのときに
母は自分が癌だとは知らずに手術を受け
あれから現在も生きながらえている。

癌は不治だという時代は過ぎたのだが
どうしても、ハイと素直に頷けない。

暑さは次第に緩やかになってくるだろう。
焦げ付いたコンクリートの蜃気楼とも
サヨウナラをしたい。

人生も第四コーナーを回ったら
粗食を続けるに限ります。

と言いながら、お酒はやめてないのよね。

機嫌が良くて気分も爽快で
酒が旨いときしか飲まない
という人生哲学で生きているのです

毎日飲める暮らしに感謝しています。

▶ 処暑もすぎ焦げ付いたコンクリートの蜃気楼ともサヨウナラをしたい